米国の老舗電力会社である,ドミニオン・エナジー(D)が増配を発表しました.
2017年から2020年まで,毎年 10%の増配見込みを発表していはいるのですが,今回の増配は過去の配当履歴を振り返ってみても,異例の時期に行われています.
どういった意味があるのか考察します.
増配
四半期ごとの配当額を
0.755 → 0.77 ドル
に増配します.
約 2%の増配です.
2017年12月1日時点での株主に対して,2017年12月20日に支払われます.
異例の増配
今回の増配発表は異例です.「異例」と言える理由について,ドミニオンの配当履歴を,増配が始まった2006まで遡ってみて説明します.
(注:配当額は小数点第3位で四捨五入しています)
赤字が増配された日付と配当額を示しています.
権利確定日 | 配当額(ドル) |
30-Nov-17 | 0.77 |
30-Aug-17 | 0.76 |
31-May-17 | 0.76 |
1-Mar-17 | 0.76 |
30-Nov-16 | 0.70 |
31-Aug-16 | 0.70 |
1-Jun-16 | 0.70 |
2-Mar-16 | 0.70 |
23-Nov-15 | 0.65 |
26-Aug-15 | 0.65 |
27-May-15 | 0.65 |
25-Feb-15 | 0.65 |
25-Nov-14 | 0.60 |
27-Aug-14 | 0.60 |
28-May-14 | 0.60 |
26-Feb-14 | 0.60 |
4-Dec-13 | 0.56 |
4-Sep-13 | 0.56 |
5-Jun-13 | 0.56 |
26-Feb-13 | 0.56 |
28-Nov-12 | 0.53 |
29-Aug-12 | 0.53 |
30-May-12 | 0.53 |
29-Feb-12 | 0.53 |
30-Nov-11 | 0.49 |
24-Aug-11 | 0.49 |
25-May-11 | 0.49 |
2-Mar-11 | 0.49 |
24-Nov-10 | 0.46 |
25-Aug-10 | 0.46 |
26-May-10 | 0.46 |
24-Feb-10 | 0.46 |
25-Nov-09 | 0.44 |
26-Aug-09 | 0.44 |
27-May-09 | 0.44 |
25-Feb-09 | 0.44 |
26-Nov-08 | 0.40 |
27-Aug-08 | 0.40 |
28-May-08 | 0.40 |
27-Feb-08 | 0.40 |
28-Nov-07 | 0.20 |
29-Aug-07 | 0.36 |
30-May-07 | 0.36 |
21-Feb-07 | 0.36 |
29-Nov-06 | 0.35 |
30-Aug-06 | 0.35 |
31-May-06 | 0.35 |
22-Feb-06 | 0.35 |
23-Nov-05 | 0.34 |
24-Aug-05 | 0.34 |
例年増配されるのは2月の配当権利確定分からとなっています.
これまでに,年の途中で配当額が変わったのが,
28-Nov-2007(2007年11月28日)
0.36→ 0.20ドル
の減配だけです.
12年間,48回の配当履歴を振り返ってみても,年内の配当額の変更はわずか1回しか行われていません.
今回の増配の意味
ドミニオン・エナジーのホームページ内を探してみても,増配を行うという事実のみが記載され,年の途中で増配を行った理由は,良い意味でも悪い意味でも見つかりませんでした.
私の検索能力では,海外の他のサイトでも明確な理由を見つけることができませんでした.
増配の解釈
1. 良い解釈
この増配をいい意味でとれば,業績がよいので臨時で株主に還元した.
来年2月の配当は,ここよりさらに増配された額になる.
10%の増配を発表しているので,
0.77 × 1.1 = 0.85
かなりの部分希望的観測が含まれていますが,2月の配当が 0.85 ドル程度になれば,万万歳です.
<2017年10月20日 追記>
2月かどうかは分かりませんが,2018年中には1回あたりの配当は 0.85ドル程度になりそうです.理由は下に示します
2. 普通の解釈
2月の増配予定を前倒しした.
増配の定義ににもよりますが,2016年の1回あたりの配当額は 0.70 ドルでしたので,0.77ドルは10%の増配となります.
来年2月には 0.77ドルとなる予定でしたので,これを前倒したのかも?
3. 悪い解釈
「10%増配します!」 とかいいながら,結局は今回の増配のみ.
来年の4回分の配当は 0.77ドルが続く.
これは最低のシナリオです.
今回の異例の増配は,臨時増配で,来年2月にはこの配当額を基準に更に増配を期待します.
しかし,本音では2月の増配予定を前倒ししただけのような気がします.
逆に,10%の増配予定がわずか2%で終わってしまうならば・・・
”You are Fired.”
こう宣言しなくても済むよう期待します.
宣言することはありません.
正しい解釈
<2017年10月20日追記>
この増配に関して経済的自由のススメ を運営されている今村咲さんより,Twitter上で早速コメントをいただきました.ありがとうございます.
2017年から2020年にかけて毎年10%の増配予定を発表していました.
2017年のこれまでの配当額は1回あたり 0.755ドルで,2016年の 0.700ドルと比較すると8%の増配にとどまっていました.
2017年の12月の配当を 0.77ドルにすることで,2017年の対20106年 10%増配を確定した事になります.
Dominion Energy to Revise Dividend Policy
DominionのIRを確認してみると,
前回の記事,
【情報更新】米国老舗電力会社 ドミニオン(D).今後3年,毎年10%の増配を予定. - 40代の資産運用,投資ブログ
で示した上の図の,”10% Annual dividend growth over next three years biginning in Q4 2017” の部分を,
「2017年4Qを基準に2018, 2019, 2020年にそれぞれ10%の増配をする」
と解釈していました.
正確には,「2017年4Qから前年比10%の増配をする」という意味だったのですね.
まとめ
ドミニオン・エナジーが異例の増配を発表しました.
増えることはいいことですが,良い意味での増配であることを期待します.
次回配当額の発表に注目したいと思います.
配当額を変更した時期は異例ですが,増配自体は予定されたものでした.
毎年10%の増配実現に向けて,期待が高まります.