前回の記事では,国交省による「タクシー定期券」という案が出されたことを賞賛する内容を書きました.
「タクシー定期券」を国交省が発案.どんだけ規制されているんだ!タクシー業界は! - C55 40代の資産運用,投資ブログ
頭の良いお役人様が,方々の意見や利益を考えながら発案されたものですので,それはそれは素晴らしい案であると思います.
「定期券」→「業界の活性化」
思考回路のつながり方が,天才的です.
実証実験がうまくいくことを心より願っております.
その実証実験が終了したら(開始する前がなお良し),Uberを全面解禁してください.
Uber
皆さんUberをご存じですか?
Uber(ウーバー)と読みます.
ウーバーとは?
自動車配車のウェッブサービスやスマホの配車アプリを運営する,Uber Technologies Inc.が提供するサービスです.
ここ数日ニュースになった,タクシー配車アプリのようなものと考えて良いと思います.
配車アプリ「最も早く着くタクシーが向かう」 神奈川の会社 | NHKニュース
ただ,日本で導入されつつあるタクシーの配車アプリと決定的に違う点があります.
タクシーは,タクシー会社が保有するタクシーに,従業員である運転手が乗り込み,営業を行っています.
一方Uberは,Uberに登録した個人が,個人の車を使って,営業を行っています.
米国をはじめとする海外で利用したことがある方もいるのではないでしょうか?
C55も昨年3ヶ月の米国滞在期間中によく利用しました.
使ってみるとすごく便利で,初めての土地でもタクシーに乗るより遙かにストレスが少なく,安心なサービスです.
日本でもUberは存在しますが,個人での営業運転は法律で認められておらず,タクシー会社がUberのシステムの中で営業を行っている状況です.
利用者のメリット
Uberを使ってみた経験から,利用者としてのタクシーに勝るメリットを紹介します.
流しのタクシーや乗り場を探さなくてもいい
スマホの位置情報サービスを利用しているため,Uberが自分のいる場所まで迎えに来てくれます.
流しのタクシーや乗り場を探して,知らない土地を彷徨う必要はありません.
安い
タクシーに乗るより圧倒的に安いです.
事前に値段や運転手がわかる
目的地を入力してからUberを呼びます.
オーダーを確定する前に,目的地までの値段,迎車までの時間,迎えに来る運転手の名前と顔写真,車種が表示されます.
納得がいけばオーダーを確定すればいいし,車種や運転手が気に入らなければ,オーダーを確定せず,しばらく時間をおけば次の選択肢がでてきます.
出たとこ勝負のタクシーとは違います.
近くにいる他のUberの位置も表示されます.
オーダーを確定すると,運転手への電話がワンプッシュでできます.
スマホの位置情報は精度が低いので,しばしば行き違いが起こります.その時電話が有用です.
電話で英語を話すのはためらわれるかもしれませんが,自分の居場所や服の色などを伝えればいいので,それほど難しくないですよ.
運転手が持つスマホ画面には,オーダーした目的地へのナビが表示されるので,目的地の説明や,道順の説明は不要です.
タクシー運転手の中には,ナビを使いこなせない方も頻繁に見受けます.
勘を頼りに運転しているのでしょう.
運転手により,当たり外れの差が大きい印象です.
下のスクリーンショットはUberの履歴画面です.
乗車区間と経路,日時,車種(Ford Explorer)値段運転手の顔写真と名前,などが記録されています.
この画面は事後ですが,オーダーを確定する前に,これらの情報を確認できます.
ヘルプには,事故にあった,金額のトラブル,持ち物の紛失,ドライバーや車の各種フィードバックが入力できるようになっています.
支払いに現金が不要
Uberに登録する際に,クレジットカードやpaypalの情報を登録します.
決済は降車後に自動決済されるので,支払いという手間がなくなります.
現金が無くても,足りなくても困りません.
おつりをごまかされる,メーターに細工をされる,遠回りをされるなど,タクシー料金にまつわるボッタクリが無くなります.
より安い乗り合いがある
Uber poolと呼ばれる乗り合いUberがあります(上のスクショの左下に表示があります.この時は Uber poolを利用しました)
誰も乗ってこなければ目的地まで直行ですが,途中でオーダーが入ると寄り道したり,経路によっては到着が後回しなることもあります.
運転手を評価できる
支払いが済むと,運転手を評価することができます.
車が汚かったりサービスが悪かったりすれば,遠慮無く少ないスターをつければ良いですし,逆に良ければ 5つ星をつけて評価します.
Amazonのサイトのように,5段階の評価がでますので,それを参考にドライバーを選ぶことができます.
経済的合理性に基づく
前回の記事で例を挙げたように,年末や週末の夜などタクシーの需要が急に高かまる時があると思います.
タクシーであれば,縄張りや台数制限のために十分な車両が供給されず,ユーザーが待つ,あきらめるなど不都合がでます.
タクシー会社としても入れ食い状態なのに,釣り竿がないという状況です.
お互いに,機会損失しています.
Uberであれば,需要があるときには車は増えるでしょう.
逆に需要が少なく儲からない時間帯は自然と減るでしょう.
全てにおいて無駄の塊であるタクシーの長蛇の列がなくなるのではないでしょうか.
運賃に関して,地域ごとに違っています(ラスベガスは割高だった),
時間帯によっても多少の変化があります.
空港から市内への料金は高めに設定されています.
ニューヨークのJFK空港からマンハッタンへは,定額料金だったような・・・.
(電車で移動したので確かめていません)
変な保護主義,規制によるものではなく,経済的合理性の基づいて値段がきめられるのが普通ではないでしょうか?
運転手側のメリット
解禁された国では,タクシー業界による反対運動がおこっているようですが,運転手側にもメリットが大きいと思います.
現金を扱わない
決済はネット上で決済されるので,無銭乗車の心配はありません.
釣り銭や売り上げなど現金を持つ必要がないので,強盗などのリスクも減ります.
パートでいい
運転手側として,一番のメリットだと感じています.
専業のタクシー運転手になる必要がありません.自分の開いた時間で副業感覚でできます.
タクシー会社の従業員として運転手をすると,客が少ない日も,客がつきにくい時間帯にも出社し業務にでなければなりません.
歩合制といっても運転手に不利な条件(一定のノルマに達しないと割が悪い)です.ノルマを達成するために無理なシフトを組んだり,無理な運転をしたりと問題がでるでしょう.
Uberが導入されれば,あえてタクシー会社に就職し社畜になる必要がありません.
いきなり個人タクシーみたいになれます.
個人タクシーの条件(東京の場合)
10年以上タクシー・ハイヤー事業者に運転手として雇用され,申請日以前3年間無事故無違反である.
これが最低条件となります.
申請する年齢によって要件はかわりますので,興味がある方は下のリンクを参照してください.
社団法人 東京都個人タクシー協会|よくあるご質問(開業をご希望の方へ)
車と運転手を保有しなくてよい
運営する会社としてもメリットが大きいと思います.
まず車を保有する必要がありません.
車の購入,保管するための車庫,点検維持のための費用,燃料費など不要です.
運転手も正社員として雇う必要もなくなります.もしくはもっと減らすことができると思います.
固定費を圧縮することが可能です.
まとめ
ざっとあげてもこれだけのメリットがあります.
外国でUberを利用されたことがあるかたは,その便利さを実感されていると思います.
もちろんデメリットもあるでしょうが,おそらく圧倒的にメリットが上回ると思います.
「定期券」「配車アプリ」などといってないで,2020年東京オリンピックまでに世界標準であるUberを解禁してくれないでしょうか?
注:Uber Technologiesはまだ上場していません.会社自体はゴチャゴチャしています.