JTは優待を廃止すべき5つの理由
JTから,優待が届きました.
JTの優待は,2月末頃に「株式関係重要書類」が届き,同封されている「株主優待のご案内」で優待商品を選択し,はがきを返信することで,4月中旬頃から希望した商品が届きます.
実際に優待商品を受け取ってみて感じた,優待を廃止すべき5つの理由について述べたいと思います.
優待を廃止すべき5つの理由
コストがかかる
優待商品の出本は,グループ会社のテーブルマークです.
テーブルマークの商品をJTの優待商品として提供する場合に,テーブルマーク社の売り上げになるのでしょうか?
会計処理上どのような扱いになるのか詳しくはわかりませんが,グループ会社の商品を株主に知ってもらおう,使ってもらおうというコンセプトはわかりますが,いかんせん,物がショボイです.
1,000円相当額という割には・・・.
引き出物などに入っている○○円相当のカタログギフト的な残念感があります.
それが優待だと言えばそれまでですが,この残念な優待が我々の手元に届くまでのコストを考えてみます.
希望商品の返信はがき送料
62円
返信はがきから,希望商品を抽出して仕分けする事務的コストと人件費
○○円
送料
富士山麓のおいしい水 2L×6本 で計算してみます
配送はJPロジサービスですので,日本郵政グループが配送を行っています.
サイズ:100サイズ(3辺の長さの合計は約84cmでした)
重さ:約12kg(<30 kg)
差出地:不明なので上記の千葉県とします.
宛先地:大阪(C55は関西在住ですので大阪とします)
複数口割引:なし(同じ住所に住んでいても,株主それぞれ別の発送になります)
この条件で計算すると,送料は 1,280円
もちろん大口の法人契約ですので,これよりは安くなると思います.
優待で水を送るとなると,商品の代金は別としておおざっぱに
1,350 円
のコストがかかっていると思われます.優待商品の金額以上のコストがかかっています.
ご飯を選択したり,東日本大震災および熊本地震の復興支援に対する寄付を選択すればもう少しこのコストは減ると思います.
JTの株主数(2016年12月31日現在)
154,377名
もし全員が水を希望したら?
154,377 × 1,300 = 200,690,100 円
おおよそ 2億円のコストが発生します.
これが年2回あります.
ショボイ優待商品を高いコストをかけて,へたすると商品よりも高いコストをかけて送付するくらいなら,優待を止めて,配当に回していただいた方が株主にとってはよほどありがたいです.
グループ会社として必要?
加工食品事業ではうまく利益が出ているようです.
ご飯や,うどん,パンなどのステープル(主食)の売上が好調で,原価の改善によって利益率が向上,JT全体業績に着実に貢献しているようです.
2016年度の決算では調整後営業利益は50億円でした.
国内たばこ営業利益が2,602億円であることを考慮すると,この50億円は・・・.
飲料部門よりは競争は激しくないのでしょうか? 一時は経営の多角化がもてはやされていましたが,今は選択と集中?
それとも分散?
株主としては,電子たばこPloom techへの経営資源の集中投下が必要では?と思いますが・・・,
寄付は自分ですればいい
株主としてコストのことを心配するなら,またショボイ優待がいらないなら,寄付を選べばいい.
ごもっともなご意見です.
東日本大震災であったり熊本地震であったり,まだまだ復興には時間と費用が必要であることは理解します.
しかし,配当でいただいても復興税によって東日本大震災への間接的支援になっていますし,すでに所得にかかる復興税を毎年払っています.
支援のお金を必要とするところは,被災地だけではありません.
優待として寄付を選択できることは素晴らしいことかもしれませんが,この分を配当に回していただければ復興税の税収も増えますし,個人的に寄付をしたい団体に寄付をすることもできます.
あえてJTの優待で,寄付を選ぶ必要は無いと考えます.
宅配事業への圧迫と値上げ
昨今話題になっている,宅配事業社の負荷の問題もあります.
今回の優待が届いた時は不在だったため,再配送をお願いしました.仕事や家族の事情で実際に再配送で商品を受け取ったのは21時でした.
増え続ける荷物量と人件費に運送業者が負荷が増え,相応のコストを消費者が負担しなければ,このシステムを維持することは困難です.
結果として,運送会社大手は配送料の値上げを行いました.すなわち,優待商品の配送のコストも増える事になります.
1,000円を配当へ
100株の株主に対して1,000円相当の優待商品です.
仮に1,000円を全て配当に回したら利回りはどのくらいになるでしょうか?
現在(2017年実績)1株あたりの配当は年140円
100株あたり1,000円なら1株あたり10円の増配となります.
1株あたり年間150円の配当となります.約6%の増配と等しくなります.
2018年3月29日の終値 約3,000円で計算すると
配当利回りは 5%になります.
さらに2018年は年間150円への増配が予定されているので,
160円,5.3%の配当利回りとなると計算されます.
追加
個人投資家の数を増やすことを目的として株主優待制度を実施している企業があります.オリックスはその典型だと思います.
では,JTの優待欲しさに,いったいどれくらいの個人投資家が株主になるのでしょうか?
JTの株主になろうとする動機は,
配当>>優待
ですよね?
もし仮に優待目当ての個人株主が増えていくとしたら,上記のコストが増える事につながるわけで,安定株主の増加より,優待にかかるコスト増のマイナス面がつよくなると思われます.
JTの株主構成比率を確認すると,
1. 財務大臣 37.24%
2. 外国法人 30.64%
3. 金融機関 20.79%
4. 個人 6.55%
ちなみにオリックスの個人投資家の比率は6.9%です(2017年3月末)
まとめ
口悪くまとめると
- ショボイ優待商品を,多額のコストを使って送付するな
- JTの株を買おうとする個人投資家は,優待ではなく配当に期待している
以上の理由により,JTは優待を廃止し配当金を増額することで株主還元をして欲しいと思います.
ご賛同いただける株主のみなさま,株主優待アンケートで優待の廃止を希望しましょう.