米国株投資家にとって円高は,日本円での資産評価額が下がり、ドルでいただいた配当金も日本円に変換すると安くなってしまうなど,ツライ状況下もしれません.
一方で,円高局面では,ドルを安く仕込むことで米国株を安く購入するチャンスではありますが、ここぞとばかり米国株を購入すると、ちょっと損することになる可能性があるので注意が必要です。
円高のメリット
言うまでもなく、米国株投資家にとっては円高はメリットです。
すでに仕込みの段階が終了し、米国株からの配当金を円に換え、生活資金として使っている方にとってはデメリットかもしれませんが…。
C55のように,現在資産を積み上げている途中の者にとっては、円高は原資となるドルを安く仕込めるチャンスです。
円高ドル安の局面で購入した米国株は、仮に株価が上がらずに横ばいで推移しても、円安となった時の円建評価額は,為替差益分高くなります。
為替の分、円建て評価額が高くなり、「儲かった」となります。
しかし、これは両手放しでは喜べない状況です。
両手放しで喜べない理由
儲かった一方で、ちょっと損することになるかもしれません。
例を示します。
1ドル100円の円高の時に、100万円分ドル転しました。
1万ドルとなります.
この1万ドルの資金で、
1株 100ドルのA社株を、100株購入しました。
数ヶ月経ったある日、1ドル120円の円安となりました。
A社の株価は上がっておらず、購入価格と同じ
1株 100ドルです。
値上がりを見込んで買ったA社株ですが、思うように株価が上がりません。
他に欲しい米国のB社株が見つかったので、A社株を売却し、B社株の購入を検討しました。
米ドル建では、
1万ドル → 1万ドル なので利益は出ていませんが,
円建てでは、
100万円 → 120万円
20万円の利益が出たから🆗
本当にOK??
A社株を売却したことで得たドル資金で同じ米国株であるB社株を購入するとなるとちょっとした問題がおこります.
何でしょう?
税金です.
特定口座での取引であれば、株式の売却利益や配当にかかる税金は自動的に源泉徴収されます。
A社の株を,
1万ドルで買って
1万ドルで売った
「利益が出ていない」
ので,「1万ドルをまるまる再投資できる」と考えますが,そうは税務署が卸しません.
少なくとも楽天証券の特定口座では,米国株の売買は円に換算した額で行われています.
売買を行った日の基準為替価格をもちいて,円建ての取得,売却金額を計算しています.
(1株価格 ドル)×(株数)×(為替 円)
これに手数料をプラスした価格が取得(売却)価額となっています.
すると,どんな計算になるかといいますと,
A社の株を,
100万円で買って
120万円で売った
20万円の売却益
利益である 20万円に,
20%の税がかかり源泉徴収された後,
116万円残ることになります.
米国株をドルで購入し,ドルでは利益が出ていないのに,円換算で利益が出ていたら税金を引かれてしまいます.
1万ドル分売却して,1万ドル分新規購入しようと思っても,口座には4万円相当のドルが引かれた 9,600ドル程度しか残りません.
逆に,同様のシチュエーションで,120円の円安局面で購入した株は,円高局面で一旦売却すると,ドル換算ではプラスマイナス ゼロとなっているにもかかわらず,円換算でマイナスとなります.
ドル資産ではかわりませんが,円換算では損益と計算され,他の利益や配当と相殺,もしくは確定申告することで3年間持ち越すことができます.
まとめ
円高局面は,米国株投資にて資産を形成中の投資家にとっては,ドルを安く仕込むチャンスです.
たしかに強い円で米国株を買えば,安く株を仕込めることになります.
しかし,円安局面で決済したときに円換算でプラスとなり,ドル換算では利益が出ていないのにもかかわらず,利益がでたと判断されます.
利益に相当する金額に税金がかかり,源泉徴収されることで,ドルベースではマイナスになってしまう可能性があります.
円買いと,株買いは別々のベクトルで考える必要があると思います.