これ1本で,全世界の株式市場に投資ができるETF
VT : Vanguard Total World Stock ETF.
米国株ブログ界隈で有名なB氏から,「クソETF」と酷評されています.
つみたてNISAの盛り上がりの中で,楽天証券からVTを買う投資信託「楽天・全世界株式インデックスファンド」が発売されました.
果たしてこのインデックスファンドは買いなのか?
元となるVTのパフォーマンスを振り返り,「全世界株式インデックスファンド」への投資ついて考察してみます.
VT
VTは投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2013で1位になったファンドです.
その後,2014年 2位,2015年 3位,2016年 3位と上位にランキングされ続け,人気の高さがわかります.
またVTの日本円で売買できるようになった楽天全世界インデックス・ファンド(楽天VT)は,2017年の1位を獲得しています.
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスをベンチマークとし,米国を中心に,その他の先進国,新興国市場を含む約47カ国の約 7,857 銘柄の大型,中型,小型株で構成されています.
全世界の投資可能な市場時価総額の98%以上を構成しています.
概要
ベンチマーク:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
経費率:0.11%
配当スケジュール:四半期毎(3月,6月,9月,12月)
設定日:2008年6月24日
国別構成比率
米国が半分を占めています.
その次に日本,英国と続いています.
日本株に見切りをつけてしまっている方もいるかもしれません.しかし,この構成比をみるとまだまだ捨てたもんじゃ無い! と思ってしまうのは,ミーハーなのでしょうか?
地域別構成比
全世界ということで,地域別の構成比を見てみます.
カナダを含めた北米:55%
ヨーロッパ:20%
太平洋(日本,豪州など):14%
新興国:10%
新興国の割合は意外と低く,1割未満です.
おおざっぱに
米国:先進国:新興国=5 : 4 : 1
上位10銘柄
2018年3月31日時点での保有上位10銘柄です.
テンセントがランクインしています.
GEは何処へ?
上位10銘柄で純資産の約9.2%を占めています.
下の図は2016年12月31日時点での構成
こうしてみると結構変動していますね.
設定来のパフォーマンス
2008年6月24日の設定日を10,000としてその後のパフォーマンスを示したグラフです.
リーマン時には大きく下落していますが,その後は順調に成長していますね.
クソETFなのか?
クソETFと揶揄されている理由を下に示します.
- 世界分散とは聞こえがいいが,米国株の成長を他の市場で薄めてしまっているのではないか?
- 世界分散はリーマンショック時にリスクヘッジになっていなかった
- 米国株のETF(VOO,SPY,IVV)で十分
比較:VT,VOO,VTI
同じVanguard社が運用するETFの中で,米国株のみを組み込んだ2つのETFと比較してみます.
VOO:S&P 500に連動したETF
VTI:米国株全体
今回の比較は,
米国(VOO,VTI)
vs
米国+他の国(VT)
の構図となり,「他の国」にも分散投資することが,そのパフォーマンスにプラスに働くのか,マイナスとなるのかの比較ともいえます.
ここ1年のチャート
濃い青:VT
薄い青:VOO
紫: VTI
3本がきれいにそろっています.20%程度の上昇となっています.
この1年をみると健闘していますね.
2017年に入ってこれらのETFを購入された方は,投資先ETFによるパフォーマンスの違いは実感されていないと思います.
ここ5年のチャート
濃い青:VT
薄い青:VOO
紫: VTI
すこし時間をさかのぼると,差がハッキリとしてきます.
米国単独と比較して,半分程度の成長に沈んでいます.
設定来のチャート
濃い青:VT
薄い青:VOO
紫: VTI
さらに時間軸が長くなると,その差は歴然としてきています.
注目すべき点は,2008〜2009年のリーマンショック時の落ち込み具合です.
同じように落ち込んでいます.
リーマン以外でも,時折発生している急落局面では,3者そろって下落していますが,その後の回復はVTが出遅れています.
リスクヘッジのための分散であるはずが,結局米国株と同じ落ち込みをし,その後の回復局面では足を引っ張っていることが見て取れます.
この比較の結果から導き出される結論は,
「他の国」へ分散投資することで,
- 株価上昇時には足を引っ張っている
- 急落時にはリスクヘッジになっていない
やはりクソですね
VTの将来性
米国株の株価上昇と比較し,日本を含めた先進国や,新興国の株価の回復が遅れているので今後見直されればVTも上昇するとの見方もあります.
暴落時の下落率
2018年2月初旬より米国株安をきっかけに世界中の株価が下落しています.
VTの世界分散は,安全弁になっているでしょうか?
実験
上に示した比較のグラフは,ある時点で購入したVT,VTI,VOOが数年後にどうなっているかを示したものです.
しかし,実際の投資を考えると,この手のETFは1回だけ買ってその後一度も買い増しもしないということはあり得ないと思います.
むしろドルコスト平均法で,定期的に買い増ししていく銘柄でしょう.
ならば,上記のグラフをもって,VTはクソだと言うには,少し暴力的かもしれません.
この問題点を解決するために,楽天VT,楽天VTIを毎月一定額を購入し比較する実験を行っています.
ついでに新興国株式へ投資するETF,VWOも楽天投信として購入できるようになったので,VT, VTI, VWOを定期購入したらどのETF(投信)がいちばん良いパフォーマンスをだせるのかを検証しています.
そこで最終的に「買い」or 「クソ」を確定したいと思います.
実験を開始して9回,合計9万円の買い付けが終了しています.
各ファンド間で損益額に差が出始めています.
VT,VTI,VWOの比較一覧
まとめ
楽天がVTとVTIの投資信託を販売しました.
VTを買う,楽天・全世界株式インデックスファンド
VTIを買う,楽天・全米株式インデックスファンド
あなたなら,どちらを買いますか?
是非こちらもお読みください
1557,楽天・全世界株式インデックスファンド 楽天・全米株式インデックスファンドをもととなるETFで比較してみました,
日本株への投資の参考になるかもしれません.VTが保有する日本株です.