C55には,中学1年生を筆頭に3人の子供がおり,生活費や教育費が今後増大していくことが予想されます.
そんな40代にとっては,投資によって総資産額を増やすことより,”Cash is King”の言葉が表すように,配当金や分配金など現金の受け取りを増やすことが第一目標となっています.
配当金を目的とした投資を行うときに,高配当利率だけど増配率が低い株がいいのか? 今は低配当利率だけど増配率が高い株がいいのか?
AT&T(T), Johnson & Johnson(JNJ),Starbucks (SBUX)をモデルケースとして用いて,比較しました.
対象と方法
AT&T(T)
配当利回り 5.86%
平均増配率 2%
Johnson & Johnson(JNJ)
配当利回り 2.37%
平均増配率 7%
Starbucks (SBUX)
配当利回り 2.07%
平均増配率 24%
それぞれ,
高配当利率低増配率:T
中配当利率中増配率:JNJ
低配当利率高増配率:SBUX
をモデルケースとして検討します.
配当利率は2017年11月10日終値で計算.
比較条件
配当利率と増配率
各条件で配当金の推移を求めるため,上記モデルケースから以下のように定義しました.
高配当利率低増配率:
- 配当利率 5.5%
- 増配率 2%
中配当利率中増配率:JNJ
- 配当利率 2.5%
- 増配率 7%
低配当利率高増配率:SBUX
- 配当利率 2.0%
- 増配率 20%
今回の比較では,得られた配当の再投資は考慮しません.
比較期間
個人的に今後10〜15年で3人の子供らは独立していく予定なので,10数年程度を比較期間に設定しました.
結果
配当金の成長推移
それぞれ100ドル投資を行ったと仮定して,各条件下での配当金の成長推移をグラフ化しました.
毎年20%の増配のパワーはすさまじく,0.5%の配当利率の差は3年で逆転します.
3.5%の差は約6年で逆転します.
低配当利率高増配率の銘柄が魅力的に見えますね.
累積配当額の推移
次に,実際に受け取る累積配当額の推移をグラフ化しました.
累積配当額でみると状況が一変します.
高増配率をもってしても,高配当利率に追いつくのに10年以上かかります.
高配当利率低増配率の強さが際立ちます
考察
低配当利率であっても増配率が高ければ数年で配当額は追いつくので,配当を目的として低配当利率高増配率の銘柄を選択するのも一見よさそうです.
しかし,累積金額を確認すると高配当利率低増配率の銘柄に追いつくのは10年程度かかってしまいます.
10年もの期間20%の増配を継続できるのか?
SBUXの場合はこれまで7年間平均24%の増配を成し遂げていますが,今後さらに10年間20%増配を継続できるか? 裏を返せば20%増配に見合うだけのEPSの成長を継続できるのか? とも言い換えられます.
これは難しく不確実性を伴うと思います.
ですので配当を重視するならば,
低配当利率高増配率はあまりふさわしくなく,
高配当利率低増配率の銘柄が適している
と考えられます.
今回の検討では,中配当利率中増配率のモデルとしてJNJを用いました.
もし配当利回り3.5%,増配率7%ぐらいの設定で比較したら,また違う景色がみえたかも?
まとめ
今後10年程度の期間を設定した場合,総資産額の増大よりも配当金の増額を重視する投資方針ならば,低増配率であったとしても高配当利率の銘柄を選択した方が良いということがわかりました.
5%を超える配当利率の銘柄では TやPFFを保有していますが,これらの保有比率をもう少し高めて,月10万円の配当を目指すのがいいのかなと思います.