AI vs. 教科書が読めない子どもたち
この本は,2018年2月2日に発売されたばかりの本で,経済ブログ「The Gucci Post」で紹介され話題となっていました.
一時期Amazonで売り切れて買えなかったのですが,現在は在庫もあり,明日到着します.
このブログをご覧になっている方は,個人投資家もしくは投資に興味を持っていて,世の趨勢に敏感で,様々な情報に明るい方々と思います.ある一定のインテリジェンスも備えていると想像します.
では皆さん,
AIって何?
AIが普及するとどうなるの?
IBMのワトソンについて説明できる?
と聞かれたら,どう答えますか?
AIはディープラーニングによってどんどん賢くなって,将棋や囲碁でコンピューターが勝ったように,近い将来人間の頭脳を越える.スーパーコンピューターや量子コンピューターなど技術がどんどん進むことでAIはさらに進化し,AIによって人間が支配され,つまりロボットに人間が仕えるような,SF映画のような未来になる.
これはC55の答えです.
本書では,C55のようにAIに期待する大きな誤解について,とてもわかりやすく論理的に説明がなされています.
AIで東大受験を目指す「東ロボ君」を成長させていく過程で明らかになってきたAIの限界を語る一方で,AIが普及する事で淘汰される仕事,AIが普及しても残る仕事について書かれており,投資を行う上でのヒント(残念ながら答えは書かれていない)が明らかにされています.
本書の素晴らしい点は,AIの話に終始している点ではありません.
現在の日本人の弱点「読解力のなさ」を,ものの見事に証明しています.
C55が,中1の子どもに宿題や勉強を教えるなかで感じていた点
問題文の意味がわかってる?
お子さんの教育に関心をもっておられる方,特に大学入学前のお子さんをお持ちの親御さんには,子ども達を教育するうえで何が問題なのか,将来AIに取って代わられない仕事に就くために必要なスキルなどを,膨大なサンプル数のデータをもとに,とても論理的に解説されています.
残念ながら読解力がないという問題提起はされていますが,子どもの学力(読解力)を向上させるための方法,具体的な勉強法などについては書かれていません(わかっていない).しかし,親として取り組むべき課題は明らかにされていると思います.
現在,著者の新井紀子氏は,「中学1年生全員にRSTを無償で提供し,読解の偏りや不足を科学的に診断することで,中学卒業までに全員が教科書を読めるようにして卒業させる」プロジェクトを開始しています.この本の印税をプロジェクトの資金に充てようとされています.
ですので中古の本も出回っているようですが,是非新品を購入していただけたらと思います.今なら新品との価格差もそれほど大きくないですし・・・.
まとめ
この本を読めば,IBMのワトソンを含めたAIの現状と限界,日本人に読解力が不足している事実,ここにAIに淘汰されないためのヒントが隠れている,以上のことが分かると思います.
オススメです.