40代の資産運用,投資ブログ 

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【残念】「残業60時間以上,幸福度上昇」は,インチキ

電通職員の過労死事件は,「電通という超一流企業で」「東大卒の若くて美しい女性が」亡くなったとあって,ひときわ大きく取り上げられました.

 

仕事の関係で3ヶ月滞在した米国でも,”Karoshi” として電通職員の過労死事件が報道され,注目度の高さを伺い知ることができます.

米国人の友人にとっても ”Karoshi = work to death" は衝撃的な言葉であったらしく,忙しいときには "Karoshi" "Karoshi" と言っていたのを思い出します.

 

過労死の話をするときに必ず必要なデータとして残業時間があり,現在の労働行政では,80時間が過労死ラインの目安になっているようです.

 

先日,テレビ東京のWBSを見ていたら,残業時間と幸福度を調査した結果について放送されていました.その内容をみたら驚愕しましたので紹介したいと思います.

 

 

残業60時間以上,幸福度上昇

自分ではWBSの画面をキャプチャーできなかったので,翌日Yahoo!ニュースで取り上げられた記事を提示します.

headlines.yahoo.co.jp

内容を抜粋すると,

  • 人材サービスのパーソル総合研究所と中原淳東京大学准教授が共同で残業実態調査を行った.
  • 調査は2017年10月にインターネットでアンケート
  • 対象は,社員10人以上の企業に勤める管理職 1,000人,従業員 5,000人,計 6,000人.
  • 幸福度は五つの質問を7段階で評価し,満点を35ポイントとした.
  • 結果,残業時間が増えるに従って幸福度は低下していったが,60時間を越えると一転上昇した.
  • 60時間を越える人はランナーズハイのような状況なのではないかと考察

 

この結果を示したグラフが以下のグラフです.

f:id:cgogohero:20180211225247p:plain

 

 

インチキ

恣意的グラフ

先日,恣意的グラフに関して酷いグラフの例をブログで紹介しました.

定期積み立てで一番パフォーマンスがよい楽天バンガード・ファンドは? VT? VTI? VWO? - 40代の資産運用,投資ブログ

 

今回のグラフもヒドイですね〜.

ツッコミどころ満載です.

 

サンプル数がオカシイ

合計 6,000人に調査したとしているが,グラフで示されているn数は 

n=5,000

 

6,000人に調査して,有効回答が5,000人だったということでしょうか?

インターネットアンケートなので,有効回答率としては妥当かもしれませんが,きれいな数字過ぎません?

 

考えすぎでしょうか?

 

グラフの軸がオカシイ

まずはY軸から.

今回の調査は,「五つの質問を7段階で評価し,満点を35ポイントとした」ということなので,幸福度を表すスコアーとしては,5〜35点までの整数となるハズです.

 

整数で表されるスコアーの集計を出すときは一般的に,小数点第1位までを表示します.

小数点第2位まで示すよほどの理由がない限りは,です.

 

16.5〜19.0の部分を意図的に切り抜き,さらに小数点第2位まで示すことで,何かを強調したい意図を感じます.

 

もし5〜35点の範囲で,小数点第1位までのスコアでグラフを描いたら以下のようになります.

f:id:cgogohero:20180211225439p:plain

横一列です.

 

統計学的に解析すれば何処かの群間で有意差が出るかもしれませんが,ほぼ同じ値と考えます.

 

 

次にX軸

時間の区切りが 10時間ごとになっていると思いきや,30時間を過ぎると15時間ごとになっています.

 

どうしてでしょうか?

40時間以上のサンプル数が少ないからでしょうか?

それとも50〜60時間の人の満足度が極端に低かったとか,逆に高かったとか,

 

見てくれをよくするために,区切りを調整してませんか?

 

幸福度は上昇?

上で突っ込んだ点が,全てC55のいちゃもんであって,恣意的な要素はなかったとします.

 

しかし,「残業60時間以上で幸福度上昇」との解釈には,

??

 

確かに45〜60時間の 「17.0」からは,60時間以上は「17.5」まで上昇していますが・・・.

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繰り返しになりますが,幸福度は5〜35点の整数で計算されています.

この 0.5ポイントの差に意義はあるのだろうか?

 

そもそもこの17点前後というスコアーは「幸せ」なレベルなのか?「不幸」なレベルなのか?

 

さらに,このグラフに矢印を一本入れてみます.

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するとどうでしょうか?

 

60時間以上の人の幸福度は上がってはおらず,低下しています.

 

残業時間と幸福度の相関としては,

「残業時間が増えるに従って幸福度は低下する」という解釈になるのではないでしょうか?

 

このグラフに意味を持たせようと,強いていうなら,

「残業45〜60時間の人の幸福度が低い」

 

「60時間以上で幸福度が上がる」はムリクリですね.

 

 

以下WBSの画面キャプチャーを,はちまきこうさんのブログから引用しました.

【悲報】残業時間が60時間を超える「幸福度」が上がると判明!!しかし食欲不振・病気は2倍に・・・:はちま起稿

f:id:cgogohero:20180211230258p:plain

 

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確かに急にぐっとあがっているように見えますね.そのグラフならば・・・.

 

 

まとめ

残業時間の問題は大きな社会問題であることは理解できます.

 

しかし,今回の「残業60時間以上,幸福度上昇」の解釈には全くもって同意できません.

 

グラフデータが示された時には,それがWBSであっても鵜呑みにせずに,データを確認するようにした方が良さそうです.